2021-03-05
「暑さ寒さも彼岸まで」
3月、9月頃になると「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句がよく登場しますが、その言葉に深い意味が込められているのをご存知でしょうか?
まず彼岸には、春彼岸と秋彼岸があり、それぞれ「春分の日」、「秋分の日」を中日とし、その前後の3日を合わせた7日間を彼岸と言い、最初の日を「彼岸の入り」、最後の日を「彼岸の明け」と呼びます。
「春分の日」と「秋分の日」は毎年同じ日付とは限りません。前年の2月の第1平日に国立天文台が作成する「暦要項」をもとに決められており、毎年、日付の変わる「移動祝日」になります。
2021年の春彼岸は、3月20日(春分の日)前後3日間ずつの3月17日~23日まで、秋彼岸は、9月23日(秋分の日)前後3日間ずつの9月20日~26日までです。
では、なぜ「暑さ寒さも彼岸まで」と言うのでしょうか?
春分や秋分は二十四節季のひとつで、天文学では、太陽が真東から昇り、真西に沈み、昼と夜の時間の長さがほぼ同じになります。
この日を境に厳しい寒さや暑さも目処がつく頃なので、「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるようになり、慣用句として定着しています。
「彼岸」はもともと仏教用語であり、煩悩を脱して悟りの境地に達すること、あるいはその境地のことを指します。川の向こう岸に渡る、あるいは川の向こう岸にあるということを例えたものです。
仏教の世界観を表す言葉であるとともに、春分の日と秋分の日を中日としたそれぞれ7日間の時期に行われる仏教の行事「彼岸会」のことでもありました。
春分の日と秋分の日は、その日を境に昼と夜の長さが逆転するため、生と死の境の時期と考えられたことに由来します。
そのことから、彼岸に起こる気候の変転を例える使い方とともに、生と死の境としての彼岸という仏教用語を例える使い方として、「辛いことや厳しい状況もやがては終わりが訪れる」という意味のことわざでもあります。
新型コロナウイルスの収束にはまだ時間がかかりそうですが、「暑さ寒さも彼岸まで」というように、厳しい状況の中でも、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まるなど、好転の兆しが見えてきています。
まずは、自分にできること、自分自身と周りの人を守る行動をとりましょう。
また、季節の変わり目でもありますので体調管理には十分に気をつけましょう。