2020-09-07
日本人の長寿を支えているものとは?
2020年7月31日の厚生労働省が発表した2019年の平均寿命は、男性81.41歳、女性87.45歳と過去最高を更新しています。海外の国や地域との比較では、男性は、香港とスイスに次いで3位、女性は香港に次いで2位となっています。
3大死因と呼ばれた、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患は、医療技術の発達により死亡率が減少したことや、健康意識の高まりによる食生活などの改善で、平均寿命は今後も緩やかに延びる傾向が続くものと推測されます。
日本人の長寿を支えているものとして、「和食」という食文化が深く関係しています。和食が健康長寿食と言われる理由に以下の特徴が挙げられます。
・低脂肪、低カロリー
日本は世界の先進国と比較しても脂肪摂取量が非常に少ないことが分かります。
米などの穀類、野菜類、魚介類などのカロリーが少ないものを使用し、生食、ゆでる、煮る、焼く、和えるなど、使用する油が少ない調理法が充実しています。
魚に含まれる油のオメガ脂肪酸は、コレステロールを下げる働きがあり、動脈硬化を予防する働きがある脂肪として、良質の油になります。
・発酵食品の使用
醤油や味噌などの発酵調味料や納豆などの発酵食品が、腸内の悪玉菌と善玉菌のバランスを整え、腸内環境を改善する働きがあります。特に納豆や糠漬けなどの植物性乳酸菌は胃酸にも比較的強く、生きたまま腸に辿りつきます。発酵食品は腸内環境を整えるだけでなく、免疫力を高めるなど健康づくりに役立ちます。
・緑茶を飲む習慣
緑茶に含まれるカテキンやビタミンCなどの「抗酸化物質」を多く摂取することで、動脈硬化や癌などを予防する効果が期待できます。
和食の弱点として、塩分過多になりやすい、カルシウムが少ないといった問題が挙げられます。
・塩分過多になりやすい
塩分摂取量が多いと、高血圧、胃癌、骨粗鬆症のリスクが上がります。日本人の食事摂取基準(2020)では、1日の塩分目標量は、男性7.5g、女性6.5gとされています。
・カルシウムが少ない
和食で小魚や緑黄色野菜は使用しますが、乳製品に比べると、カルシウムがの吸収率が悪く不足になってしまいます。また、日本の水は軟水なので、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを含まない水のため、飲料水からカルシウムは補えません。
現代、便利さの追求によって加工食品や外食の機会が増え、食材が豊富なおかげで健康効果の高い伝統的な和食を失いつつあります。和食は2013年に、「和食:伝統的な日本の食文化」として、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。食の原点に帰り、日頃の食事を見直してみる良い機会ではないでしょうか。